Yokohama Choral Society
-横浜合唱協会-

2002年ドイツ旅行私的道中記8月17日

第二次ドイツ旅行道中記(速報版・8月17日)

8月17日(土) 10日目

タールビュルゲル(晴)

今日は15時に教会前集合とのことで、各自自分なりのペースで午前中は過ごす。ひたすら休む人、精力的にヴァイマールへ出かける人、イエナへ行く人、ビュルゲルへ買い出しの人、付近を散策する人、食あたりでダウンする人(をいをい;噂によると食べ過ぎ、らしい)、等々。

個人的には、ビュルゲルへ散歩。田舎をブラブラするのは好きで、天気も良いので気分良く散歩(写真)。しかし、周りの風景は何となく北海道。エールミューレ付近は牧草地と牧場が中心で、畑はない。おかげで、1日それなりの臭いが漂うが、すぐに慣れてしまう。地形はどちらかといえば、横浜東部の谷戸地形。ただし、傾斜が緩く、そのため谷の面は比較的なだらかで広い。この辺りを散策して気がついたのは、セミの声がまったく聞こえないこと。カエルやトンボは観察できるが、セミがいないために妙な静けさ。でも、いる方が世界的には妙なのかも。

ビュルゲルの町を散歩していると、ビュルゲル焼きの工房兼販売店を発見。メンデルスゾーンの歌詞にTopfe(陶工)とあったのを覚えていたのであちこちにある看板が読める(ちょっと嬉しい)。中で製作の様子を見ることができるが、焼く前はあの紺色が薄い水色。この水色面に焼くと白くなる粘土をスポイトのようなもので表面に付け、これを焼き上がることでビュルゲル焼きの特徴である紺地に白点ができる仕組み。写真に撮りたかったのですが、何となく遠慮してしまったので写真が撮れなかった(残念)。ここで、思わず追加で数点購入してしまうし・・・。感じが良いしお値段も手ごろなのでつい買ってしまうが、これってやっぱり手荷物だよね。この店には常に多くはないがお客さんが来ている。そして、しこたま買って車に積んで帰って行く。生活陶器だから、全食器を統一して食事が出るとイイですよね。ちょっと羨ましい。

ゆっくり休息してクロスター教会へ。薄い雲がある為、真昼の日差しはそれほどきつくはないが、やはり暑い(写真)。

教会内で最後のリハーサル(写真)。昨日よりは教会の響きに慣れてきて、調子が良くなってきた。また、アンコールについても予定変更で、アンナベルクのレセプションで短縮版追分節考が比較的ウケたため、最終的に男声が退場する形で行なうことに(写真 写真 写真)。

それから、当会の代表よりザクセンの各地で起きている水害に対して、義援金を募る話が出た(写真)。非常に近くで多くの方が災害にあわれているので、無事に過ごしている我々としても、何か手を少しでも貸せないか、との事。少しでもお役にたてる事になればと思います。

また、わざわざ録音の手伝いにブラウマン氏も駆けつけてくれる。個人的にはスッゴク忙しいはずなのに、時間をわざわざ割いてくれる。感謝!!(写真)

この時に気がついたのですが、この教会の塔の部分にチョウゲンボウ(の仲間;小型のハヤブサ)が住み着いている様子。下に羽が落ちていました。横浜南部でも見られる鳥ですから、ここでは充分に暮らせるでしょうね。

リハーサルを終えて、近くのタールミューレで軽食と着替え。ここでパーティーマエストロは気持ち良さそうに伸びていた猫をからかって踏むまねをして、猫に恨めしそうな顔をされていた(写真)。おかげで(?)、その後くだんの猫を撫でた人たちは引っ掻かれるわ噛まれるわで、とばっちりを受けていた。軽食は地元のボランティアの方々が作っていただいたオープンサンド。かなり多めに作っていただいたのと、歌う前で食べるのを控えていた会員も多く、少し残してしまう。あたしも少し頑張って食べたのですが微力で、誠に本当にとっても申し訳なかったです(最大級)(写真)。

本番前に教会前へ集合。記念撮影をした後(写真 写真)、遠くで雷鳴、しばらくすると小雨が。本格的に降るのかかなり不安。

そして本番、前回に比べて聴衆の入りは今一つでした。それはさておき、ドイツ人に合唱協会のドイツ語の歌って、どのように聴こえたのでしょうか? 休憩時間には、先方よりミネラルウォーターまで出していただく。そして後半。叙情歌曲集は無事(?)終り、追分節考。聴衆の方々の反応は、横浜での演奏会より少なく、やや期待ハズレ(?)。でも、何となく日本な雰囲気は感じていただけたようです。終ったときの反応は日本よりずっとよかった。やっぱりスタンディングオベイションはうれしいですね。(写真)

演奏会が終り、会員と会員の家族はほとんどが地元のボランティアの方々にエールミューレまで、自家用車でピストン輸送していただく。本当にありがとうございます。こんな事からも、町ぐるみで音楽祭を運営している事を強く感じさせます。

そして、宿のエールミューレでレセプション(写真)。クロスター教会牧師のヴァシュネフスキー氏(写真)、クロスター教会友の会代表(写真)をはじめホームステイのホストの方々や関係者の方々にも集まっていただき行なわれる。本当にタールビュルゲルの方々をはじめ、先生方(写真 写真 写真 写真)や今回参加は出来なかった会員、そしてご家族の方々、ドイツの元会員(写真)等々のご協力により実現できました。また、八尋先生によるご縁は大きく、また内輪の話ですが(今風に言えば)ドイツ帰国子女の当会齋藤の奔走によるところ無くしては出来なかったものです。偶然の重なりとは言え、これも何かの縁。うまく広がると良いですね。

そんなこんなで、最後の夜は名残惜しくも盛り上がるのでした(写真)。

パトリの独り言

皆自分の出せる声(と言うか力と言うか)の限界を知っているらしい。割と大曲やオケ付きを歌っている団のせいか、歌い続けるアカペラになると最後まで力(気力?)が続かない。慣れてないだけかも知れないがもうすこしパワーを付けたいですね。耳を使うことには慣れて来たと思う。やばいのはつい感情にまかせて歌ってしまう私とかBass1の某氏。どのパートも本番になると声が倍増する。Sop.だけでなく男声もそうだと確信。音に集中する力は精神的なものと体力的なものとある。かなり気力で持たせるタイプと、体力でもたせる男声群、お腹が減ると気力も集中力もなくなるあたし・・・(笑)。

個人的に自分の弱点とかが、わかった旅行だったように思う。下がらないようにするコツとか会得出来たかなぁ。

クロスター教会の演奏は、まぁ追分に尽きると思うが。男声が歩きながら歌う姿が、グレゴリオを歌いながら歩く修道士の姿とだぶったと言っていた。確かに・・・。

そういえば、箱根八里の歌が北欧の民謡に似ているとハーゲンさんが言っていたっけ。

この時の地元新聞報道

2002年8月20日テューリンゲン ランデスツァイトゥング 地方版

音楽世界から
魅力的な響きの体験
タールビュルゲルに日本からの合唱団

ハンスレーマン記
タールビュルゲル

横浜合唱協会が再びタールビュルゲルにて客演。この合唱団のJ.S.バッハに対する心からの強い想いはモテット2曲に歌われていたが、Lobet den Herrn alle Heiden では伴奏をオルガンではなく弦楽器にしてもよかったかもしれない。このことで合唱の構造が隠れてしまったのは残念である。幸いDer Geist hilft unser Schwachheit aufはアカペラで演奏され、先述の合唱構造が明確に表現されていた。輝くようなソプラノ、響き豊かなベース、均質な内声、それらのアンサンブルが幅の広いスペクトルによって表現を一層多彩にしていた。さらにドイツ語を外国語とする合唱団員の言葉と音の処理は敬意に値する。ポリフォニックな音の流れの中で興味深いリズミカルなアクセントを生んでいた。レーガーの8つの宗教曲はたっぷりと聞かせてくれた。ともすればpでのダイナミックさが少し欠けていたか。メンデルスゾーンのモテット2曲はドラマチックな言葉の運びと魅惑的な和声に恵まれ第一部のハイライトであった。

第二部は日本の作品。林光編曲で伴奏付きのものと無伴奏作品があり、西洋音楽と東洋旋法を感じさせた。一方、お国特有の衣装に着替えた小休憩の後ではまさに日本の色が燦然と輝いた。柴田南雄(1916-1996)作曲の追分節考は盛りだくさんで贅沢な合唱曲で、日本における働く姿が様々な形で歌われている。女声の連続したクラスターと男声のメロディックな掛け声が教会全体に響き渡り、魅了的な美しさを生んでいた。その空間内を男声メンバーは三々五々に歩き回り、さらにそこには尺八の音色が加わったのである。

古い民謡の新しい形、合唱によるまったくの偶然性 — 指揮者に組み合わせの自由が与えられている。何よりも、あらゆる部分に遙かかなた東洋の瞑想精神が漂い、それはこの場にあってはまさにベネディクト派修道士たちのグレゴリア聖歌と近いものさえ感じさせもした。少なくともその効果という点ではまさにそうであろう。八尋和美指揮の客人たちと谷口明子(ピアニスト/オルガン)は人を楽しませる方法を知っており、聴衆は彼らとは別れがたかった様子。聴衆に対する感謝としてのアンコールのなかで、尺八奏者関一郎の作品が鼓奏者の歌と共に演奏された。

2002年8月22日付 オストテューリンガー ツァイトゥング 地方版

日本の合唱団とバッハの作品
タールビュルゲル クロースター教会で横浜合唱協会が聴衆を魅了

タールビュルゲル クロースター教会でプログラムを飾る作品となった最後の作品は聴衆にとって興奮に値する以上のものであった:それは、中部日本 信濃追分付近の民謡をアカペラ ジングシュピールの形でオリジナル演奏した作品である。

かつて、車もなく道路も整備されていない時代、山地では馬が移動の手段であった。荷物や人々をのせた馬を引く馬子たちの歌は多数存在したようだがすべてが書き留められていたわけではない。今日でもなおそれは伝承され歌い継がれている。今回の演奏作品についても楽譜があるというわけではない。指揮者が演出家であり、彼がキューを出す。合唱団の女性たちはステージに立ち、合図を出す。最後列の女性が扇子を持ち演出家の指示に従って高く掲げる。それが男声の歌い出しのきっかけを作る。彼らは馬子となってバジリカの中を一人でまたは数名で歩き回り、独特の民謡を歌う。女声合唱は手当たり次第とさえ言えるような、多声の響き、雰囲気を作り出す現代的なクラスター。終わろうとしない拍手に応えて抜粋でアンコール。

演奏会の第一部はバッハ、レーガー、メンデルスゾーンの作品。八尋和美指揮で約60名の合唱団員はそれらの作品をドイツ語で、まるで母国語のように歌った。しかし一曲目のバッハのモテットLobet den Herrn alle Heidenではアプローチが今ひとつまとまらず、さらに不揃いも目立った。聞く側の失望がこれにとどまったのは幸いなことだった。その後アカペラ演奏が続き、紛れもない最高の演奏を聴くことができた。マックスレーガーの8つの宗教曲はドイツの合唱団では抜粋で歌うことが多い中、全曲演奏は最高の楽しみ。指揮者八尋和美の指揮は全体に大振りな動きがなく、団員の集中力を一身に受けている。メンデルスゾーンのドッペルコーラスは、研ぎ澄まされたダイナミックな表現力で歌われた。締めくくりのDer Geist hilft unser Schwachheit aufは聴衆を存分に楽しませてくれた。合唱団のまったく自然な内面の緊張が緩やかで柔軟な演奏を生み出し、Er aber ・・・のフーガのあと、合唱団も聴衆も演奏会の成果に満足感があふれ、明るい喜びの歌声が響き渡っていた。

ミュラーシュミート

2002年8月29日 オストテューリンガー ツァイトゥング 地方版

教会への義援金
ヴルツェンWurzen へタールビュルゲル クロースター教会が援助の手を

タールビュルゲル クロースター教会友の会は、ジャズ バジリカコンサートと8月30日に行なわれるピアノ バジリカコンサートの収益の中から洪水による大きな被害を受けた教会への援助を行なうことにした。すでに同会メンバーである横浜合唱協会がその口火を切っており、クロースター教会における演奏会の折、1200ユーロを会員の中で集め同会に委託。この行いがピアノ バジリカコンサートでも引き継がれることになった。集められた義援金はヴルツェンWurzen教区で被害を受けた3つの教会の再建に役立てられる。

ピアノ バジリカコンサートのチケットは 電話036692/22262または当日券売り場にて。

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